秋吉台の赤土に関するシンポジウムが秋芳ロイヤルホテル秋芳館で開催され、これに参加しましたので報告します。
本シンポジウムは、今までほとんど調べられてこなかった秋吉台地域の赤土について、2014年と2016年に実施された大規模な断面調査をもとに、さまざまな分野の専門家が進めてきた最新の研究成果を、4名の講師の方がそれぞれ下記の演題で報告されました。
講演1. 「秋吉台の土はどんな色? どんな性質?」
柳 由貴子 氏 (山口大学大学院創成科学研究科
農学系学域生物資源科学分野助教授・・・ 農学博士)
講演2. 「秋吉台の土は何でできている? 秋吉台の歴史と土のかかわり」
岡本 透 氏 (森林総合研究所関西支所森林環境研究グループ長・・・理学博士)
講演3. 「秋吉台の土が支える生物多様性」
平舘 俊太郎 氏 (九州大学大学院農学研究院 農学研究院生産環境科学講座
土壌学分野 教授・・・農学博士)
講演4. 「炭からわかる山焼きの歴史 秋吉台と他地域と比べると?」
小椋 純一 氏 (京都精華大学人文学部 教授・・・農学博士)
会場では約100名の方が熱心に聴講され、本会からも10名が参加しました。
また、講演終了後17:00から18:00まで、同会場で来場者から講師への質問および意見交換、展示物の解説など講師も含めた参加者同士の交流会が開かれました。
秋吉台地域の土は、赤い色と強い粘土質であることが特徴で、長らく「石灰岩がとけてできた」、「アルカリ性の強い土壌」、「テラロッサ」と言われてきました。
この赤土がどのように出来たのかについての詳細な研究は行われていませんが、最近の研究によって、秋吉台の赤土は強い酸性を示すことや、石灰岩がとけてできたと考えるのには無理があることがわかってきました。
一方で、この赤土の畑で栽培されるゴボウが農林水産省の地理的表示登録制度に登録されており、秋吉台地域の粘土質土壌との関連が注目されています。
また、最近は土の中に含まれる炭を調べることで、山焼きの歴史など過去の秋吉台の姿を推しはかることができるようになりました。
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